April 2006

April 30, 2006

今年のゴールデンウィークは(続編)

アサオです。

今年のゴールデンウィーク、
思いがけずミャンマーへ行くことになりました。
「思いがけず」と言ったって、決めたのは私なんですけど。
行って良かったという声が多いので以前から気にはなってたんですけど、
実際に行くことを考えると、どうしても二の足を踏んでしまうというか、
そこまで興味を引くものがないというか、
あるいは費用がかさむというのがネックだったかもしれない。

何せ200ドルの強制両替がひどい。
無理やり外貨を獲得するため、外国人には入国する際に
強制的に200ドル空港で両替させるという横暴ぶりは
さすが軍事政権というところか。
それが実はもう2001年ごろになくなったというのを
私は2006年に入って初めて知った。

外国人の陸路入国は認められておらず、
必ずヤンゴン空港から空路で入国しないといけない。
という規制も最近は緩和されつつあるらしい。
現段階では、タイとの国境の町・タチレクから入国したら、
出国もタチレクからでなければならない。
それもいずれ緩和されるに違いない。

あと、日本にはミャンマー大使館が東京にしかない。
領事館が大阪にはないので、ビザ発給には必ず旅行会社を通さなければならない。
と思ってある旅行会社に問い合わせてみると、
ミャンマービザセンターというものが大阪市内にあるらしい。
ぶっちゃけウチで取ると8000円ですけど、ご自分で行かれたら4000円で済みますヨ。
とそこまで言うから、ついでにビザセンターの場所を尋ねてみたら、
なんとびっくり私の会社の隣りのビルだった。

これはもしや行けと神サマが言ってるのか?

バンコクからヤンゴンまでの航空券を調べると、
バンコクエアウェイズがweb限定の6ヶ月オープンを売り出していて
往復7,350バーツ。
日本円で約22,000円。そんなに高くない。
昨年家族でルアンパバーンへの航空券を申し込んだときはエラーになったけど、
今回はどーだ…?
クレジットカードの番号や有効期限を打ち込み…、submit!
難なくブッキング完了。
もはや支払いも済んでしまったのだから、これはもう行くしかない。

5月4日から4泊5日で初ミャンマーひとり旅。
カノジョ…というか奥さんも誘ったら、そんな高い時期に旅行なんか行きたくないとか。
一人で行ってもいいと、こちらの問題も難なくクリア。
彼女は閑散期の6月に有給を3日ぐらい取ってシンガポールだとか。
そんなに休みを取れる仕事って……というか正直ウラヤマシイ。

それならばと思って、今年のお盆のタイ行きを貯まったマイルで交換したら、
さすがに怒られました。。。

何はともあれ、初ミャンマーまであと3日!

頭を丸めて行きます!


scott_street63 at 02:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)  

April 09, 2006

RPM-1200


世界は一つではない。
世界を、文化や価値観の違いで分けるとするなら、
世界は人間の数だけ存在する。
人は誰しもその内部に独自の精神世界を展開している。

「RPM−1200」―――係員に通されただだっ広い部屋には
高さ2メートルぐらい、半径4メートルぐらいの円筒形の台が置かれ、
その上には冷たい光を放つ無数の金属片が無秩序に並べられていた。
「台の向こう側に階段がありますので、それを上ってご観覧下さい。」
部屋に入る前に係員が言った通り台の周りに沿って奥まで進むと、
台座に上る階段があった。
台の上には下から見上げた通り、研磨され銀色の冷たい肌を見せる
巨大なボルトやアンテナのようなもの、金型、機械部品など
大小様々な金属片が、所狭しと敷き詰められていた。
階段を上ったことで、私は彼らと目線を合わせる高さまで来た。
これは一体何なんだ…!?

徐々に室内を照らす照明が弱くなり、間もなく暗転した。
束の間の暗闇、そしてまたゆっくりと照明が灯る。
それは正しく太陽が昇るように。
朝が来たのだ。
光は次第に強くなっていく。
同時に、私には目の前に乱立する金属片たちの生命の躍動が見えた。
この冷たく無機質な、非生命的な、恐らくスクラップとして廃棄されたのであろう
夥しい数の金属片が見せる生命感。
光はやがて南中して最も強くこの謎のオブジェと私とを照らし、
また徐々に衰え、やがて消え、そしてまた次の朝を迎える。
私はその場から離れられなかった。
否、離れたくなかったのだ。
私はこの金属片の乱立に街を見出していた。
幾度かの朝と夜を迎えている内に、いつの間にか私はここの住人と化していた。

無機質な大地に突然現れたその都市は、あたかも砂漠の中に浮かぶオアシス。
この乾いた世界に芳醇な生命の水を尽きることなく湛える。
私は惜しみながらその都市を離れ、また次の旅に出た。

KPO(キリンプラザ大阪)にて開催されている榎忠展「その男、榎忠」
(そのおとこ、えのちゅう)。
芸術とは精神世界を目に見える形で外界へ具現化したものだ。
私は、一時、榎忠氏の世界を旅し、飲み込まれた。
彼の、日常の均衡を破壊するアンバランスな世界観を目の当たりにし、
私は底知れない不安に襲われたと同時に、同氏の深い愛情を覚えた。
彼はよほどこの世界を愛しているのだ。
うまく説明はできない。
しかしそうでなければ榎氏の作品群や、人を食ったようなパフォーマンスは
決して産まれるはずがないと思わずにはいられない。

RPM-1200……私もこの世が少し好きになれた気がする。

(今日の写真:コルドバ通り at プエルトイグアス/アルゼンチン)

060408

scott_street63 at 01:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)