March 07, 2006

TAXI

2月は多忙を極めました。
2月は我が社の決算月なのでそれだけでも十分忙しいというのに、
1週目はアルゼンチン旅行でつぶれ、
3週目は所属する楽団の定期演奏会、
4週目はうぇでぃんぐぱーてぃ……

そんなわけで、人生にいちどぐらいはしても悪くないという
けっこんとかいうものをしました。
午後、行列のできるベーカリー・タケウチにほど近いホテルの
“貴賓室”で両家親族だけが集まっての食事会。
つづいてホテル内に作られたなんちゃってチャペルで
なんちゃって人前式(わずか約10分)。
で、夕方はホテル最上階でお待ちかねの友人だけを集めたパーティー。
計画と準備にギリギリまで精根注いだ甲斐あって、会は大盛況。
「型破り」とか「破天荒」という感想をくれた人がいたけど、
それに勝る褒めコトバはありません。

とか言いながら、実はその日は朝っぱらからケンカしてたんでした。
ホテルから10時半には来て下さいと言われてたのに、
私が寝坊したせいで家を出たのが9時45分。
間に合わない、ぜったいに間に合わないとあまりにうるさく責められたので、
家の前で通りがかったタクシーを捕まえ、
おどろく彼女を、乗るぞ、と促してホテルまで直行。
メデタイ日なんだから、これぐらいのゼイタクいいじゃない。

晴れ渡った空の下、新御堂筋を駆る。
休日だから道は混まず、景色が爽快に流れていく。
今ならまだ結婚キャンセルできるぞ、とか嫌味を言いながら、
飛ぶように過ぎて行く街や空や雲を車窓からぼんやりと眺めてた。


パスポートが見つかったのはもう夕方近い時間だった。
案の定、カルカッタで泊まったホテルに忘れてきたのだった。
日本領事館の係官の話によると、明日ホテルの従業員が領事館まで届けに
来てくれるらしく、すぐにカルカッタに戻って来るようにと言われた。
私はすぐにクミコハウスに戻り、パスポートが見付かった旨を久美子さんに
伝えると、急げば6時45分の急行に間に合うかもしれないからすぐに行きな、
と急かされた。
その語り口は、バラナシにあって、確かにニッポンのお母さんであった。

70リットルのバックパックを背負い早足でガンガー沿いを歩く。
遠回りになるが、迷路のように入り組んだ道で迷うよりずっとマシだ。
途中よろけて川に落ちそうになりながら野菜市場に出ると、
サイクルリクシャーに跨った青年から声をかけられた。
 「ジャパーニー、何処まで行くんだ?」
 「バラナシ駅。急いでるんだ。」
 「ユーアーラッキー。オレはバラナシで一番速いリクシャーだ。」
できればエンジンの付いてるリクシャーに頼みたかったが、
この頼もしい発言に、私はこの身を託したくなった。

韋駄天とはまさにこのことか、彼はひとたびペダルを漕ぎ出すと
次々に他のリクシャーを追い抜かした。
振り向いて何か話しかけてくるものの、風とドップラー効果でうまく聴き取れない。
恐らくスゲェだろとか言ってるのに違いないと推測し、ホントだ、スゲェよ、
ユーアーグレートなどと彼を褒め称えた。
前方の交差点が渋滞しているのを見ると彼はすかさず抜け道に入り、
幾つか角を曲がると、先の交差点は既にはるか後方に見えた。
 「Yeah, Ha!」
勢いに乗った彼は馬でも駆るかのような声を上げると、
スピードを落さずコーナーを直角に曲がった。
その瞬間、私の乗る荷台の左側がふわりと浮き上がった。
時間が止まったかのように感じた、ほんの一瞬の出来事。
あわや転覆かというところで私は左脚に全体重を乗せて踏ん張った。
車輪は地面に叩き付けられ、再び地を蹴りながら回り始めた。
走りながら彼は振り向き、私と目を見合わせた。
互いの無事を確認し合うと、可笑しさが込み上げ、笑わずにはいられなかった。

バラナシの乾いた風。
自動車が撒き散らす砂埃と排気ガスに紛れて牛糞の匂いが鼻腔をくすぐる。
結局私がバラナシに滞在したのはわずか22時間だった。
次にバラナシを訪れる機会は再び来るのだろうか…?
いや、また行く。
結婚したって一人旅。

てゆーか、まだ婚姻届け出してないわ。

…まいっか。

(今日の写真:青い機内 at アルゼンチン上空)

060307

scott_street63 at 20:01│Comments(2)TrackBack(0)  | インド

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この記事へのコメント

1. Posted by きぬきぬ   March 13, 2006 00:44
どうもです。また来ちゃいました。
舞台裏でそんなことになってようとは…幸せへのミチは平坦じゃないのね。
ところでワタクシの地元でも自転車の前に座席付きのリヤカー(?)がついたものが走ってました。
かなり気になります。うー疾走してみたい。
2. Posted by アサオ   March 13, 2006 09:57
いえいえ、毎度ありがとーございます。
結婚したあともいつ終末を迎えてもおかしくないぐらいのケンカっぷりですョ☆
…本気で。
前に座席のついた自転車といえば、ベトナムの「シクロ」かもしれませんね。
さすが舶来のまち・KOBE。
また遊びに行きます!

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